強引男子のイジワルで甘い独占欲



『井川が佐野と同じような性格になったとしても、俺は井川の気持ちを分かってやりたいとは思えない。
井川が悪いんじゃない。別れたのは、俺の気持ちの問題だ』

分かってやりたいと思うかどうか。
確かにその通りかもしれないと思う。

慎司は、朋絵の事を分かってあげたいって思ってるんだろうか。
朋絵は……これから慎司をどうするつもりなんだろう。

私には関係ない事と言えばそうかもしれないけど、何もしないで見ているなんて事できない。
だって、元はと言えば、朋絵の私への感情から起きた事に、眞木も慎司も巻き込まれてるんだから。

それに。
分かってあげたいって、私はまだ朋絵に対して思えるから。
だったら、きっちり向き合いたい。

朋絵をこのままにしておけないと言ったら、眞木はまぁそう言うと思ったと意外にもすんなりと理解を示してくれた。
けれど、慎司も合わせて話し合いたいと言ったら、そこには難色を示して。
じゃあ俺も同席させろ、という交換条件を渋々飲んでから、慎司に電話をした。

それが、先週の木曜日の事。

「すみません。ついてくるって聞かないから」
「当たり前だろ。どこに元カレと会うっていう自分の女を平気で送り出せる男がいるんだよ」

土曜日の午前10時。
約束通り指定した24時間営業のファミレスにきた慎司は、眞木がいる事に最初は驚いたみたいだったけれど。
すぐに「いや、その通りだ」と、眞木の言い分を受け入れて向かいの席に座った。

窓際の席の一角。

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