強引男子のイジワルで甘い独占欲


多分……会社での関係は眞木の方が一年後輩にあたると思うんだけど、そこはもうツッコむのをやめる。
慎司だって社外でそんな細かい事を気にする人じゃないから。

お昼にはまだ早い時間だからか、お店は空席が目立っていた。

「この間、会社帰りにバッタリ会った時、三坂さん、私に何か言おうとしたでしょ?」

いきなり本題に入っても、慎司は特に驚いた様子は見せなかった。
理由は言わずに呼び出したけど、何の話かはおおよそ予想がついていたのかもしれない。

「ああ……。朋絵の事を相談しようと思ったんだ」

「自分から振った女に今の女の相談か。無神経にもほどがあるだろ」とかなんとか言い出した眞木をなだめながら、続きを話すよう告げると、慎司は少し気まずそうにしながら口を開く。

「ちとせと……いや、佐野さんと別れて、朋絵ときちんと付き合い出してから様子がおかしいんだ。
心ここにあらずって感じで。
情緒不安定なのが見て取れるのに、本人はなんでもないってそればかりで何も話そうとはしない。
だから、従兄妹の佐野さんなら何か思い当る節があるかと思って話しかけたけど……」

慎司がチラっと眞木を見てから苦笑いを浮かべる。


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