強引男子のイジワルで甘い独占欲


たいていの父親は娘が可愛くて仕方ないのかもしれないけれど、おじさんの場合はその度を超えていると思う。
おじさんの名誉のために言っておくと、至って娘への愛情であっておかしな度を超えてしまっているわけではないけれど。

「朋絵は小さい頃から女の子らしかったからそのまま育った感じだけど、ちとせちゃんは昔の男の子っぽさがある分、ギャップで驚くなぁ」
「朋絵は昔から変わらないもんね。
ずっと女の子って言葉の象徴的な存在って感じで」
「そうだなぁ。この頃はぐっと女らしさみたいなものが出てきた感じがするから心配が絶えないよ」
「……彼氏でもできたんじゃないかって?」
「まぁ、朋絵もそういう年齢だし、誰もいないのもおかしいとは思うんだが……ちとせちゃん、何か知ってる?
同じ会社だし話が出たりするだろ?」
「んー、社内ではあまり話さないし。
元々、朋絵と恋愛話とかしないから。
あ、私ちょっとキッチン行って何か手伝える事ないか聞いてくるから」

話が嫌な方向に行き始めたのがすぐに分かったから、適当に笑みを浮かべながら足早にその場を去る。



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