強引男子のイジワルで甘い独占欲


「俺の箸使えばよかったのに」
「そうしようかとも思ったけど、他の人が見た時誤解しそうだし。
眞木そういうの気にしない人なんだろうけど、一応気を付けた方がいいよ。
やたらと女性社員とかにそうしてると過敏に反応して私の事好きなんだわ~みたいにとる人もいるかもしれないから」

分かってなさそうだから注意すると、眞木は少し納得いかなそうに顔をしかめた後、何かを言おうとして。
でも、私がおいしい!と驚いた声をもらしたから気分をよくしたのか、しかめっ面を崩して笑みを浮かべた。

偉そうというか、自慢げというか、効果音をつけたら「ふふん」って感じの。
でも、素直に嬉しそうな笑みだから嫌味には感じない。

「これ、煮込んでるの? すっごい味がしみてておいしい」
「そんな長時間じゃないけどな。炒め煮っつーかそんな感じで」

炒め煮って調理方法が本当にあるのか疑問だったけれど、それを聞いてもし料理界における一般常識だった場合、墓穴を掘るはめになるのは必須だから黙っておく。

張る見栄もないけれど、炒め煮ね、となるほどアレねって感じに呟いてみる。

「朝からよくそんな手間かけられるね……。
でもちょっと感動的においしい……」
「まぁ、料理すんのはそんなに手間に思わないし好きなのかもな」
「男の眞木が作ったっていうのがまたなんていうか……屈辱的においしい」


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