強引男子のイジワルで甘い独占欲
私が強がって立っていられるうちに、早く。
そんな思いが伝わったのか、それとも言葉通りに受け取ったのか。
しばらくするとこの場から去っていく足音が聞こえてきた。
一歩、また一歩遠ざかっていく二つの足音。
どっか行って、もう見ていたくない、なんて勝手な事を言ったのは私の方なのに、離れていってしまう慎司の姿を思うと引き留めたい衝動に駆られた。
なんでだとか、いつからだとか、何がきっかけでだとか……私にもう気持ちは残っていないのかだとか。
本当にたった少しも残っていないのか……とか。
聞きたい事はたくさんあったけれど、慎司の顔を思い出すと何も聞けなかった。
きっと慎司は今の言葉が私の強がりだって事も分かってる。
それを分かった上で、私を放って朋絵と立ち去ろうとしているのだから……つまりはそういう事だ。
慎司は何も考えずに別れ話をするような人でも、本来だったら傷ついた私を放っておける人でもない。
そんな慎司が慰めるわけでもなくただ謝って離れていったのだからもう終わりなんだと、感情的になった私にも分かった。
言葉通り、痛感した。
それが、消化できるかどうかは別として。