強引男子のイジワルで甘い独占欲


溢れ返る感情やら涙を堪えるために食いしばっていた奥歯を、やっと解放する。

随分長い間立ち尽くしていた気がした。
最も、これだけのショックを受けていて正しい時間の感じ方をしているとは分からないけれど、少なくとも300秒くらいは微動だにしていなかったと思う。

300秒……それならもう慎司と朋絵も私が見えない場所まで離れたハズだ。
ぼんやりとそんな事を考えた次の瞬間にはその場にしゃがみ込んでいた。

休日のショッピングモールには人が溢れていて、しゃがみ込んでいる私を邪魔そうに何人もの人が避けていく。
こんな人気のある場所でしゃがみ込んでしまうなんて大人としてどうかと思うし、場所を移そうとも思う。

せめてトイレに行くとか、どこかに避けるとか。
そうした方がいいのは分かっていたし、そうしようとも思った。

だけど、動けなくて。
一度溢れ出した涙が堰を切ったようにこぼれ続けるし、受け止めきれない事実が上から重くのしかかるから、立ち上がる事さえできなかった。

ただ、人目もはばからず泣くこと以外、何もできなかった。





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