手話~僕等のカタチ~
「俺と…友だちになって。」
気付けば、そう口にしていた。
またも予想外のことを言われて、案の定、笹村はえっ?という顔をしている。
『私なんかが友だちになっていいんですか?』
何言ってんだよ。
その考えは間違ってる。
「俺は笹村だから友だちになりたいんだ。
私なんかなんて言うなよ…
俺は、笹村と友だちになりたい。
…なってくれるか?」
こんなちゃんと友だち申請したのなんて初めてだ。
嫌だって言われたらどうしよう……
だが俺の心配は無用で、
彼女は嬉しそうに笑い、
『はい。』
と声を出さずに、口で答えた。