電波的マイダーリン!
お互いのことを全部知るには、まだまだ、時間が足りなかった。
廊下には、二人の足音がヤケに響く。
カイトの足音が、どんなものだったかも、よく、わからない。
ずっと黙っていたら、カイトの声さえ忘れてしまいそう。
この廊下に、溶けて消えてしまいそう。
「…もっと、カイトのこと、知りたかったな」
「…俺も、千早のこと、知りたかった」
そんな願いも届かない。
時間は、神様は、意地悪だ。
いつも来ているはずの教室は、何故かまったくの別物に見えた。
「教室が教室じゃないみたい…!!」
「ただの箱みてェ」
「表現がカッコいいな!!」
「…そうでもないと思う」
「や、その通りのような気がしてきた…うぉお…机やいすが消えて行く…」
「…大丈夫か?」
「あたしはいたって健康だよ」
「一回精神病院、行った方がいいよ」
「黙らっしゃい」
そんな会話をしながら、自分たちの机に向かい、あたしは椅子に、カイトは机に座る。
普通に隣同士の机に座ってから、あたしは春の出来事を思い出して、一人で笑いだす。
「そっそう言えば…あたしの机、これ、花梨のだったんだ…!!(大爆笑)」
「…あぁ…あったね。そんなのが」
「ノートで会話したりしてね…あ、そのノート確か置いてるよ!」
「持って帰れよ」