真紅の空
薄々勘づいていた。
だけど考えたくなかったから目を背けていた。
だけど則暁くんの言葉が、それを現実にしていく。
則暁くんが、身代わりとなって死ぬ。
この首が、落ちる。
「だっ、ダメ!そんなの絶対ダメ!」
弾かれたように立ち上がって、声を張り上げた。
則暁くんは微笑んで口元で人差し指を立てて、「しー」と言った。
「暁斉様に聞こえてしまいます。
この任は、暁斉様に知られてはなりません」
「ど、どうして……貴方が死ぬことないわ!
暁斉の首?そんなの、そんなの……っ」
「泣いて、くれるのですか?」
はっと息をのんだ。
気付けばあたしの頬には涙が伝っていた。
悲しくないわけ、ないじゃない。
だって、この時代に来てから則暁くんは
本当に良くしてくれていた。
それに暁斉とも仲が良かったし、
暁斉のために動いてくれていた。
そんな人が、いなくなる。
現実味がない。
だけどその言葉を聞いた途端、
則暁くんが遠く離れていくような感覚に襲われた。
視界ではその姿を捉えているのに、朧に見えてしまう。
どうして、貴方なの?
「私は、心のどこかでは暁斉様を恨んでいました。
どうして私が自分を殺し、実の弟へ仕えなければならないのかと、
思ったこともあります。
暁斉様が死ねば、私はまた春仁として生きられると、
そのような恐ろしい考えを持ったこともあります。けれど、」
そこで言葉を切った則暁くんは、天を仰いだ。
「私は生まれ変わってもまた、
暁斉様のおそばにいたい」