まんまと罠に、ハマりまして
対峙
「何か。久しぶりな感じするな」
「…はい」
「昨日も会社では会ってるんだけどな」


車の助手席。
何だろう。
昨日までの気持ちがまるで嘘みたいに無くなっていく。
あんなに苦しくて、ツラくて。
泣き明かしたのに。


「待たせ過ぎたせいかな」
「そんなこと…!」
「あるだろ…?」


課長の口調が柔らかくて。
私に微笑んでくれてるせいなんだろう。


「…悪かった」
「いえ。私も、LINEとか…。色々とすみませんでした…」
「あぁ…。さすがにあれはちょっと、堪えてたけど」
「えっ!?あ、ほんとにすいません!」
「あ、いや。元はと言えば、原因は俺だから…。渡来が謝ることはないよ」
「でも…」
「俺が悪い。ごめんな?」


やっぱり。
課長は優しい。

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