まんまと罠に、ハマりまして
想い
「…大丈夫?」
「…はい。私は…」
「ん…」


ゆきのさんが帰って、課長の部屋。
ほんとはこのイスも、ゆきのさんの場所だったのかと思うと。
やっぱり胸が少し傷む。

今。
どんな気持ちでいるんだろう…。

課長の事を。
まだ想いながら……。

少し、


「落ち着こう」


と。
課長がコーヒーを淹れてくれて。
私はそれに、ミルクを流し込む。
その螺旋を描くミルクを見ながら、


─ゆきのさんは、ミルクなんか入れないんだろうな…


ふと、自分と比べてしまう。

私はきっと、ゆきのさんとは真逆のタイプだ。


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