×ルームメイトの内緒話×



"紺"



呼ばれたのは、何年ぶりだろう。



そして震えた声で言う母さんの頬には、涙が伝っていた。



「……ごめんね。あなたに頼ってしまって。
 紺だって、洸を失った辛さはあったでしょうに……!

 ごめんね……ごめんね……!!」


「……母さん」



自然と彼女の背中に手を当てていた。


落ち着かせるようにゆっくり撫でる。




「それなのに、勝手に紺に洸を重ねて……。
 紺は優しいから、そんな私のせいで、紺は……!」


「母さん、いいよ。
 落ち着いて、俺は大丈夫……」



……ようやく、母さんの本心に触れられた。

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