【完】こいつ、俺のだから。
「中原ー!見たか!?俺と佐野の活躍を!」
「あ、お疲れ楢崎。見たよー!ホントに1位とっちゃうなんてすごい!」
楢崎はこのリレーにも出なきゃだから、退場してすぐに入場門にやって来たみたい。
それは佐野も同様で。
おそらく奇数の方に並んでるはずだ。
あたしはそんな佐野に、バトンを渡さなきゃいけない。
「いやー、中原のおかげで助かったよ。佐野があんなにやる気だしたのは、中原のおかげだからな!」
「え?あたしなんもしてないし」
楢崎に真面目に返すと、彼はキョトンとした表情を見せる。
……ん?
「え……。気づいてないの?」
「なにが?」
「……いやだから、佐野は中原のために頑張ったんだよ」
目が点になる。
……はて、なんのことやら?