【完】こいつ、俺のだから。
「意地張ってる場合じゃないって。あんなの放っておいたら、どんどん悪化するよ?」
「意地なんて張ってないし。無視しとけばあっちもいずれ気が済むって」
あたしの言葉に、本日何度目かわからないため息をつく光。
「全く……あんたってそういうとこあるよね。まぁいいわ、仁菜がそう言うんならこっちだって考えあるし……」
だんだんと言葉を濁し、呆れ顔で去っていく。
「え、どこいくの?」
「あたしは走る順番が奇数だからあっちに並ぶのよ。
あんたは偶数だからそっち」
そう言って、人だかりができてるとこを指差す。
あぁなるほど、と納得。
あたしは静かに自分の走順のところへ並んだ。
ちょっとましてから、棒倒し競技を終えた楢崎が笑顔でやってくる。