【完】こいつ、俺のだから。




リレーはすぐに始まった。



1人トラックを半周して、100メートルを走っていく。



順調にことは進んで、現在あたし達のクラスは2位だ。




「行くぜー!」



そして楢崎にバトンがまわされ、やつは全力で走り出す。



やっぱ爽やかだなぁ〜。こういう競技、よく似合うよね、あの人。




ぼんやりとそんなことを考えていた。



ドクドクと嫌な音をたてる胸の音は、聞こえないフリをして。



痛む足が、ガクガクと震えてる気がした。




……痛くない、痛くない。



こんなの全然平気だ。




「やった!1位だ……!」




同じクラスの子の、嬉しそうな声で我に返った。




< 161 / 418 >

この作品をシェア

pagetop