【完】こいつ、俺のだから。
リレーはすぐに始まった。
1人トラックを半周して、100メートルを走っていく。
順調にことは進んで、現在あたし達のクラスは2位だ。
「行くぜー!」
そして楢崎にバトンがまわされ、やつは全力で走り出す。
やっぱ爽やかだなぁ〜。こういう競技、よく似合うよね、あの人。
ぼんやりとそんなことを考えていた。
ドクドクと嫌な音をたてる胸の音は、聞こえないフリをして。
痛む足が、ガクガクと震えてる気がした。
……痛くない、痛くない。
こんなの全然平気だ。
「やった!1位だ……!」
同じクラスの子の、嬉しそうな声で我に返った。