【完】こいつ、俺のだから。
見てみるとなんと、楢崎はグングン抜かして1位を独走。
……すごい。
あたし達のクラスがダントツだ。
このままあたしも、1位を保たなきゃ。
もうすぐあたしの番……。もうすぐ……。
緊張感があたしを襲う。
変だな……こんなのテキトーにやってのけるキャラなのに。
なんでこんな、焦ってんだあたし。
そんなとき、あっちに並んでる佐野と目があった。
数十メートル先でスタンバイしてるあいつは、なぜかあたしを見てる。
「……っ」
あたしはすぐに、パッと目をそらした。
なに見てんの?あいつ。
別に気にすることじゃないのかもしれない。
だけどなんか、足のこともひっくるめてか、いつも通りでいられない。
みんな、優勝できるって信じてる。
……走らなきゃ。