【完】こいつ、俺のだから。
「中原っ!」
そしてあたしの番がやってきた。
とうとうパスが回る。
はじめの一歩。強く踏みしめダッシュすると、足に強い痛みが走った。
「っ!」
耐えろ。今だけの我慢だ。
これが終われば、とりあえず大丈夫だから。
自分に強く言い聞かせる。
クソ……。あの女共のせいで、こんなことに苦戦するなんて。
足が地面に着くたびに、ビリッと足から痛みがやってきて、全身が麻痺するみたいだった。
佐野にパス回さなきゃ。速く、速く……。
……あとちょっと、このカーブを曲がれば……っ!