【完】こいつ、俺のだから。
ドキッとした。
だって今日は、佐野に会わないで済むと思ってたから。
弱い部分を見せてしまって、恥ずかしくって。
だから、ちょうど風邪引いてよかったと思ってた。
体を離すと、佐野はあたしの目を見つめてきた。
だけどあたしは、目を合わせることができず、すぐに逸らしてしまう。
「なんで目、逸らすんだよ」
「……なんでもな……」
言いかけて、顎をクイッと掴まれた。
「恥ずかしいからとか変な理由で、俺を避けたら許さないからな」
無理やり顔をあげさせられる。
必然的に、佐野と目が合う形になった。