【完】こいつ、俺のだから。
「おい」
その時だった。
後ろから、ドスのきいた低く怒ってるような声が聞こえたのは。
「……佐野」
「なにしてんだよ」
振り返って見ると、予想通り佐野がいた。
走って追いかけてきてくれたのか、少しだけ前髪が乱れてる。
……電話、終わったんだ。
「うわ。男いたのかよ。かったりぃ、可愛い子見つけたと思ったのに」
あたしの肩に手を置いてる男が、顔をしかめて佐野を睨んだ。
だけど佐野も、負けじと男たちの顔を睨み返す。
その整った顔には、あきらかに怒りが表れていた。
「そいつ離せ」
「あぁん?口悪いぞガキ」
「いいから離せっつってんだよ!」
グイッとあたしの腕を引っ張り、そのまま自分のうしろにあたしを隠した佐野。