【完】こいつ、俺のだから。
「か、考えておきます。だからあの……そろそろ離してください……」
「ダメ」
「……佐野さん、あの、周りの人が見てますが」
平日の昼間だからって、ここは決して人が少ないワケじゃない。
こんな大胆なことして、制服姿のあたし達は丸目立ちだ。
「……離してほしけりゃ、約束しろ」
「…………はい、わかりました」
なぜか敬語で返してしまう。
心臓がドキドキと騒がしい。
体なんてガチガチに硬直して、どうしていいかわからないほどだ。
「……今言ったからな?」
「う、うん……」
「撤回できねぇぞ」
「しないけど……でも、」
どうしてあなたは、そんなこと言うんですか?
聞きたくても、聞けない。