【完】こいつ、俺のだから。
「中原?」
楢崎の声にハッとする。すぐさまふたりから目をそらした。
「だ、だいじょぶだいじょぶ!
あたしだってフルーツ半分に切るくらいできるよ!
楢崎は自分の仕事に戻って!」
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫って言ってんじゃん!ホラっ!」
――サクっ。
「……いっ」
「え」
見事にあたしが握ってた包丁はフルーツではなくフルーツに添えてた左手の人差し指に突き刺さる。
「待って、言ったそばから指切ってる!!」
一瞬の強烈な痛みのあと、そこから血が溢れてきた。