【完】こいつ、俺のだから。
「中原ってもしかして料理できないタイプ?」
「うーん、どうだろ?包丁は1年近く持ってないかな」
「まじかよ自覚ねぇのかよ。絶対メイドしてる方が良かったんじゃ……」
おいおい〜、小声ですが聞こえてますよ〜。
仁菜ちゃん傷つくよ〜。
そんなときだった。
ふと目の前に、執事姿の佐野が目に映って、
メイド服で歩きにくそうな前野さんが、なにもないとこで躓いて前のめりに倒れそうになる。
そんな前野さんを咄嗟に支えたのは佐野で、必然的にふたりは密着する形になった。
それを見た瞬間、胸にチクリとした痛みが走る。