【完】こいつ、俺のだから。
だけど……。
高校に入ってすぐの出来事。
同じクラスになった中原は、満面の笑みで言っていた。
『先輩と付き合うことになった』
笑顔で友達にそう報告していたお前を見て、俺の心はえぐられたかのように痛かった。
……限界かもしんねぇ。
だって俺は、お前の視界に入ることはできても、
お前のそんな笑った顔、真正面から1度も見たことがなかったから。
口ゲンカばっかで、お前をいっつも怒らせてばかりで。
虚しさだけが、俺の心を襲う。
お前を笑顔させてやれるのは、その戸田っていう奴なんだろ?
俺じゃ、ねぇんだろ?
バカげてた。
子供みたいだった。
意地悪ばっかしてた俺は、ピタリ、その日から中原と話さなくなった。
中原が男とふたりっきりでいるとこなんて、見たくねぇし。
嬉しそうに笑って、そいつの話してるのなんて、聞きたくねぇし。
だから俺は、毎日避け続けた。
少しでもあいつから、離れたかった。