無口なアオくん
無口なヒーロー










うぅ、どうしよう……



今まさに、あたし



高橋 ユメ(タカハシ ユメ)は



人生最大のピンチかも…





「ぶつかっといてごめんで済まされるわけねーだろ」


「…でも、ぶつかってきたのは


「ああ゛ーー?!」



狭い肩路地の一本道



今日から高校生のあたしは学校に登校中、



この怖い人に捕まってしまったのです




「慰謝料払え」


「そんな……今お金もってません…」


「じゃー体で払え」



遅刻する以前に、これはやばい



どーしよう



どーすればいいの…?!





「じゃま」




「へ?」




突然聞こえた声に、間抜けな声が出てしまった





そんなに大きくない



でも、よく通った透明な声




振り返ると



その人は紛れもなく男の子で



あたしと同じ学校の制服を着てるということは高校生




でもちょっと顔は幼い感じがする



でも




男の子なのに、なんていうか…



とても綺麗




瞳の色は少しブルーが入ってるような


黒に近いけど、群青色みたいな



吸い込まれそうな瞳




思わずトクンと


胸がなった






「じゃま」




もう一度その子が同じことを言って、我に帰る



彼の瞳に目を奪われて

一瞬今の状況を忘れるところだった



待って?



もしかしてこの人、この怖い男の人に向かって



邪魔って言ったの?



……この人馬鹿?!





「はぁー?なんだてめー」



案の定



怖い男の人は、あたしから彼へとターゲットを変えた



「遅刻する」



「そんなん知るか!!」



男の人は、今にも彼を殴る勢いで




やばいよやばいよー!










< 1 / 15 >

この作品をシェア

pagetop