無口なアオくん






ホームルームが終わって



次の授業が始まるまで10分はある




周りはグループを作って楽しいおしゃべりを始めた





あたしは、自分の席に座って




彼も







「あの、…アオくん!」





昨日は、休み時間声をかけられなかった




今日、あたしは朝からずっと待ってたんだ




アオくんが来るのを





アオくんに





おはようって





言いたかった






彼は、振り返ってくれた




あたしのことを




ちゃんと、見てくれる人




あたしも今度はその目をちゃんと見て





「…お、おはよ




「田中ー!」







言いかけた言葉は



なぜか戻ってきた先生がアオくんを呼び止める声に、全てかき消された



よく飛ぶ先生の声に被さって、自分でも自分の声がわからなくなった




アオくんはあたしから視線を外して、先生の方を見た




「忘れてたんだったよ。ちょっと職員室に来てくれ」




「はい」







先生の声をしっかり聞き取った彼は立ち上がって




仕方がないね





おはようなんて、いつでも言えるし




大体、いきなりおはようなんて




きっと、アオくんも



迷惑だったよね





「なんで泣きそうなの」




「…え」





顔を上げるとアオくんがいた




まだここにいた




まだあたしを





見ていた





「え、泣きそう…じゃないよ?」




そうは言ったけど、声は少し震えてたかもしれない




アオくんは少し不思議そうな顔をして




「おはよう」






そう言って





言ってしまった






「え…」




後からあたしの唖然とした声が遅れて




でも確かに













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