引き籠もりの双子の姉を救った俺。
由紀はどういたしまして、と言い
その後表情を少し曇らせる。
「広樹くん…。
今日は、とても楽しかったよ」
由紀の微かに震える、切なげな声。
「私、広樹くんといると、
ほんとに楽しくて…。
なんだか欲張りになっちゃったみたい」
「…由紀」
「謝らなきゃいけないことがあるの。
広樹くんも分かってると思うけど、
一ヶ月間私で、縛っちゃって…」
「由紀っ」
ようやく、由紀がこちらを見た。
そして、それと同時にツリーの方を
見てた理由が分かってしまう。
由紀の瞳から、今にも溢れそうな、
美しい粒。
きっと、由紀は…俺が止めなかったら、
ごめんね、なんて言ってただろう。
「俺、由紀とは友だちだった」
…悲しげに目を伏せないで。
「正直、由紀が俺に好意があるのも
知らなかったし」
それは、友だちとして
由紀が気遣ってくれてたのかもしれないけど。