引き籠もりの双子の姉を救った俺。





私、“寂しい”と思っている?



いやそれは李人くんが
いい人で楽しかったからで…。



モヤモヤと、
心に霧のような感情が広がっていく。




「美穂」



俯いた私に、優しげな声が掛けられる。


見上げると李人くんが、
真顔でこちらを見ていた。




目が合い、
まるで時が止まったかのような錯覚に陥る。



しかし、実際は、
時は止まることなく動いてる。








「え?」






李人くんの顔が私の目の前にあり、
頬に柔らかい感触を得た。




ほっぺたに、キスをされたと気付くまでに
そう時間を要さなかった。




「またね」




李人くんは意地悪そうな笑みを浮かべ、
改札へ、吸い込まれていく。




ドキン。




私の顔、真っ赤だろうな…。




< 238 / 263 >

この作品をシェア

pagetop