引き籠もりの双子の姉を救った俺。




私の反応をからかわれただけ。

それだけなのに、脈打つ心臓はときめいていた。



そのまま李人くんが消えて行った改札を
じっと見つめる。




「きゃ」



ぼぅっとしていたら、
サラリーマンっぽい風体の人に
ぶつかってしまった。



「ごめんなさい」



男の人も頭を下げて
どこかへ行ってしまう。



完全私の不注意のせいだ。気をつけよう。



私はバレンタインの材料の入った
スーパーの袋を握り、足早にそこから去った。



辺りは暗くなってきたけど、
なんだかソワソワと宙に浮いたような感覚が
すっと私にまとわりついていた。





─────『作ってくれる?』



これは、バレンタイン、
作るべきなのでしょうか。






< 239 / 263 >

この作品をシェア

pagetop