あなたまでの距離
あっという間に、長期出張に出発する日が来た。


高木さんとも、最後のデートをした。



あれから奥さんとは冷戦状態らしい。

前よりも頻度は減ったけど、私達は逢っていた。




「沙耶はモテるから心配だな」

ビールを飲みながら、彼がポツリと呟く。

そう言った言葉に、曖昧に笑って見せた。


結局その時も、私は別れを切り出すことが出来ずに終わった。




私は最低だ。狡い。




高木さんとの、最後のキスを、存分に堪能した。






ごめんなさい。

ごめんなさい。


ありがとう。


愛してる。





抱かれてる間、そんな陳腐な言葉達が頭の中を過っていった。













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