あなたまでの距離
23時を回った辺り、龍生が部屋へやって来た。

「遅かったねー。」

「…うん。」


ん?明らかに様子がおかしい。


機嫌悪いオーラが出てる。


どうしたんだろう…?


これじゃあ、妊娠の話しづらいじゃん。




微妙な沈黙が暫く流れた後で、龍生が口を開いた。




「お前、不倫してたんだな。」




ドクン、と、心臓が鳴って、背中に冷たいものを感じた。






なんで、龍生が、その事知ってるの?



無言でいると、立て続けに言われる。

「…タカギ、ユーヤ、って、本社の奴と」



高木さんの名前が出てきて、一気に目眩がしてくる。脈がはやくなる。


「…平沢さんに聞いたの?」



あの人しか、思い当たらない。


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