リトライ。




「俺、ちょっと沙奈と話してくるから。また今度な」



私はばっと顔をあげた。


「ちょっと~もう!」


マネージャーの女の子が怒った口調で言う。

しかし陽介は「行くぞ」と言って私の手を引いた。



何も言わず、陽介の後をついていくと、

たどり着いた場所はバスケットゴールのある小さな公園だった。


その公園のベンチに陽介がバッグを置いた時、私は言った。



「あの、邪魔しちゃってごめんね……」


「別に」


陽介はそっけなくとそう答える。


怒ってるかもしれない。

どうやって謝ろう。


しばらく沈黙が流れる。


陽介はバッグから自分の外用ボールを持ってボールをいじっていた。


ちゃんと伝えられるかな。

伝わるのかな。


いざ陽介を目の前にすると言い出すのが怖い。


「あの……っ、陽介」



< 170 / 266 >

この作品をシェア

pagetop