first love~世界で一番素敵な初恋~



「私はね、あんたとは違って幼稚舎の頃から西園寺様のことを知ってるの。
その頃から西園寺様と吊りあえるようになるために沢山の努力をしてきた。
綺麗になるために時間もお金も掛けているの。
あんたなんかとは違うのよ!
なのに、何で西園寺様はあんたなんかを選んだのよ!」


そんなことを私に言われても困る。
でも、竜ヶ崎さんが苛立っているのは分かるから下手に言葉を発せない。


「あんたがいなければ、私は西園寺様と婚約出来てたはずよ!
なのに……あんたが邪魔なの!」


そう言って竜ヶ崎さんに胸ぐらを捕まれると、竜ヶ崎さんの顔色が変わった。


「これ、西園寺家の家紋じゃない。」


ちょうど胸元からネックレスに通っている指輪の裏が見えたのか、竜ヶ崎さんは目の色を変える。


「何であんたが西園寺家の家紋がついた指輪なんか持ってるのよ。
本当に気に入らないわ!」


竜ヶ崎さんは私の首からネックレスを引きちぎるとプールの中に思いっきり投げる。


静かに沈んでいく指輪…………


この指輪から全てが始まったんだ。
西園寺が私の婚約者だと言って家に来て、西園寺家に連れて来られて……


俺様で、自分勝手で………最初は大嫌いだった。恨んでもいた。
でも、西園寺とテニスをやっている時が楽しくて仕方なくて、一緒に全国大会で優勝した時は本当に嬉しくて……
それからどんどん西園寺に対する気持ちが変わっていって、短い時間だけど西園寺のことを沢山知れた。


そして、やっと西園寺のことが好きだって気付けたのに……


あの指輪はちゃんと気持ちを伝えてから西園寺に返すつもりだった。
西園寺があの指輪を渡した人は私じゃないけど西園寺のことが大好きだって……


なのに、それが無くなってしまったら私の気持ちを伝えられない………


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