first love~世界で一番素敵な初恋~
食堂へ入ると、西園寺の姿はなかった。
待とうと思ったけど、遅刻しそうだったから結局一人で朝食を済ませた。
それから神谷さんに案内され、昨日連れてこられたリムジンに乗り込み私は縦に長いコの字のソファーの下の奥の方へと座った。
それから少し経つと、リムジンの扉が開き西園寺が中に入ってくる。
「西園寺、今起きたの?」
「あぁ、俺はいつもギリギリだからな」
欠伸をしている西園寺は何のためらいもなく私のすぐ隣に座る。
しかも、私が座ってるのは一番奥なので壁と西園寺に挟まれて動けない。
「ちょ、ちょっと。こんなにいっぱい席があるんだから詰めてこないでよ!」
「………あぁ?ここはいつも俺が座る定位置なんだよ。」
「そうですか。すいませんでした。
なら、私はどこでもいいから席を移らせて頂きます。」
そう言って西園寺の足を跨いで違う席に座ろうとするけど、すぐに手を引っ張られた。
「わっ。」
体勢を崩すと、私は西園寺の胸の中にすっぽり納まって何故か抱き締められた。
「ちょっと、離してよ!動けないじゃない!」
西園寺に抱き締められて動けない私はジタバタするしかなかった。