ラベンダーと星空の約束+α
 


「お兄ちゃんお顔赤いよ?」



「風香には青く見える」




妹達の言うように、青ざめつつ赤面するという、器用な芸当を披露する俺の顔。



心を落ち着かせようと椅子に座り直し、深呼吸してみるが…

こんな時に限って、いつもより早めに

「ご飯だよー!下りといでー!」と、階段下から母さんの大声が聞こえる。



「はーい」と無邪気に走り出す妹達の背中を見ながら、溜息をつく。




今日の夕飯は食べた気がしないだろう。


父さん母さんと視線を合わせると、変な事を想像しそうだし、

何より俺の説明では納得しなかった妹達が、同じ質問を父さん母さんにぶつけそうで、恐ろしい……




中々立ち上がれずにいる俺に

「紫龍ー!さっさと下りといでー!」と、再び母さんの命令が下る。



諦めて椅子から立ち上がった瞬間、写真の父さんと目が合った。



いつもはただ優しく笑いかけるだけの写真の父さん。


その顔が…俺に同情しているような…

頑張れと励ましてくれるような…

そんな複雑な笑顔に、この時は見えた。



思わず写真立てを手に取り、話し掛ける。




「写真の父さん…
父さんなら妹達に何て説明した?」




問い掛けても、もちろん答えは返ってこないが、

さっきよりは心が落ち着き、顔色も戻った気がした。



よし、大丈夫だ。

あいつらが変な事を言い始めたら、嫌いなセロリを口に突っ込んでやればいいさ。



写真立てを机上に戻すと書斎を出て、賑やかな声のするリビングへ下りて行った。





【白紙に描かれた、紫龍11歳冬の想い出−終−】





 ***

この後の食卓はどうなったのか…チラリ想像してみました。


多分…

紫龍の予想通り、彩香が両親にマズイ質問をし始めて…

慌てて紫龍がセロリを口に突っ込み阻止しようとするけど、

その最中に、風香に同じ質問を言われてしまう。


一瞬の沈黙の後、大樹が「子供はセッ××したら出来るんだ」とペロリと言ってしまい、

紫と紫の母に、ダブルで叩かれる…

そんな感じだと思います♪


数日後、またおまけストーリー追加します!



< 97 / 161 >

この作品をシェア

pagetop