続・雨の日は、先生と
「聞いてた?」



こくり、と頷くと、先生は寂しそうに笑った。



「カナちゃんのこと、黙ってて悪かったね。彼女は……、玲の妹なんだ。」



はっと息を呑んだ。

やっぱり、そんなに単純じゃなかったらしい。



「ごめん、はっきり言わなくて、逆に不安にさせてしまったね。」



そっか。

私たちは、お互いを傷つけたくないと思うあまり、肝心なことを話さなくて。

それで、何となくすれ違ってしまっていたんだね。



「私も、本当にごめんなさい。陽さんに、相談しなくて―――」


「いいんだ。無事でいてくれたから。……それより、傷は大丈夫?」


「痛いけど、大丈夫です。骨折ったりしてないし。あっ!」



突然上げた大声に、先生は驚く。



「買い物、してきたんです。今から夕飯作りますね!」


「いいよ、唯。今日は、」


「いいえ、絶対作らないといけないんです。」



いつになく強情に言うと、先生は笑って頷いてくれた。
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