ヒット・パレード















「……寿命が三年位縮むかと思ったぜ………」


《まよよ》がファンに晒け出したのは、上半身のみ。彼女(彼)の言葉の真実を証明するべく、男性特有の平たい胸が露わになっただけであった。


《まよよ》の足下には、たった今までその胸を覆っていたブラパッドが虚しく転がっている。


「今まで、みんなを騙していてごめんなさい!でも、もし《まよよ》をキライになってもTKB48の事はキライにならないで下さいっ!」


会場は、異様な雰囲気に包まれていた。今の状況が受け入れられず「これは夢だ」と独り言を呟く者、大声で号泣する者、途方に暮れる者、「それでも僕は《まよよ》を応援する!」と涙ながらに訴える者もいた。


プロデューサーの秋山 康はと言えば………


(まよよをセンターに、新たにニューハーフのメンバーを募って《ONE48》というのもアリかもしれないな………)


転んでも、只では起きないというのは、きっとこういう男の事を言うのだろう。


可哀想なのは、このとんでもない大波乱、最悪なコンディションの観客の前で、この後のステージを受け持たなければならない《エクササイズ》である。


「この後、超やりにくいんですけど………」


そして、その全ての原因を作った《まよよ》の方は………


ありのままの自分を晒け出したという達成感と開放感に、まだステージの上で陶酔していた。



「少しも寒くないわ♪」



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