ヒット・パレード



「おっさん、ずいぶんと上から目線で言ってくれるよな!アンタ何様のつもりだよ!」


「ちょっと、涼さん落ち着いて!森脇さんも、もうちょっと空気読んで下さいよ!」


いきり立つZipメンバーと森脇の間に、慌て割って入る陽子。森脇なんかに話を振った事を、今更ながらに後悔した。


しかし、そんな陽子の気持ちを知ってか知らずか、森脇は険悪な今の状況に更に追い討ちをかける。


「ふん、実際に音が荒いから、音が荒いと言っただけだ。言われるのが嫌なら、人前で演奏なんてするな」


「なんだと!」


堪りかねた涼が、森脇の胸ぐらを掴んで引き上げる。


「俺達の演奏のどこが荒いってんだよ!言ってみろっ!」


今にも、森脇に殴りかかりそうな勢いの涼。しかし、そんな涼にも全く動じる様子もなく、森脇はこんな事を言うのだった。


「誰が演奏が荒いって言った。荒いのは音だよ、音!」


「音?………」


森脇の襟元を掴む涼の手がわずかに弛む。森脇は、その涼の手を振り払って、涼の後ろに立っていたZipのギタリスト『祐哉(ゆうや)』を指差した。


「おい、ギターのお前!その背中にしょってるギター、貸してみろ!」


森脇に指差された祐哉は、呆けた顔付きで「俺?」と、自分の顔を指差してみせる。そして、一体なに事かといった様子で、背負っていたギターケースから取り出したギターを森脇に手渡した。



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