ホルケウ~暗く甘い秘密~
欲しい、と里美は思った。
(あの弾と銃があれば……父さんを殺した害獣を仕留められる)
隠すことなく件の木箱に熱い視線を注ぐ里美に、信弘は言った。
「里美、もし亮平がアメリカへ行ってしまい、わしも死んだ時は、お前があれで人狼を仕留めろ。白川の森は海間家が守るんじゃ」
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信弘の部屋から子供部屋に引き上げる道すがら、普段は会話どころかまともな挨拶もしない兄妹は、声を潜めて話し合っていた。
「白川町にオオカミが出たってニュースが流れた時、お祖父ちゃんまったく驚かなかったよね……」
ふと、それまでの生活を反芻する里美。
「一つ引っかかるんだけどさ」
「なんだよ」
「万が一人狼という化け物が本当に存在していたとするよ?お祖父ちゃんの話ぶりだと、その化け物は一匹みたいだよね」
「実際の数なんかわかるか。っつーか、そもそも人狼が本当に存在するかどうかもわからないだろ……」
「そう。だから」
無言で里美と亮平は視線を交わした。
二人とも、お互いに同じことを考えていると確信した。
「確かめよう。自分の目で」
亮平の言葉に頷き、里美はしばらくはケンカはやめようと決意した。
(あの弾と銃があれば……父さんを殺した害獣を仕留められる)
隠すことなく件の木箱に熱い視線を注ぐ里美に、信弘は言った。
「里美、もし亮平がアメリカへ行ってしまい、わしも死んだ時は、お前があれで人狼を仕留めろ。白川の森は海間家が守るんじゃ」
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信弘の部屋から子供部屋に引き上げる道すがら、普段は会話どころかまともな挨拶もしない兄妹は、声を潜めて話し合っていた。
「白川町にオオカミが出たってニュースが流れた時、お祖父ちゃんまったく驚かなかったよね……」
ふと、それまでの生活を反芻する里美。
「一つ引っかかるんだけどさ」
「なんだよ」
「万が一人狼という化け物が本当に存在していたとするよ?お祖父ちゃんの話ぶりだと、その化け物は一匹みたいだよね」
「実際の数なんかわかるか。っつーか、そもそも人狼が本当に存在するかどうかもわからないだろ……」
「そう。だから」
無言で里美と亮平は視線を交わした。
二人とも、お互いに同じことを考えていると確信した。
「確かめよう。自分の目で」
亮平の言葉に頷き、里美はしばらくはケンカはやめようと決意した。