戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
乙女は少し呆れた風に溜息をついた。

「何だ、貴方は金などに執着しないと思っていたのだがな」

「馬鹿を言え、俺は慈善で自由騎士をしているわけではない」

俺がそう言うと、それももっともだ、と乙女は苦笑いしながら頷いた。

「だが大国との戦はまだ終わっていない。全ての決着がついてから、という訳にはいかないか?」

「ならんな。せめて今日の働きの分くらいは頂きたいものだ」

俺は断固として退かない。

乙女も、俺の今日の活躍には納得もしていたし、誠意くらいは見せたいと思っていたのだろうか。

「…まずは望みを聞かせてくれ。何が欲しい?金貨か?王族用達の甲冑や剣か?貴方は自由騎士だ、まさか王宮直属の騎士の座など欲するとは思えぬが…」

思案しながら口にする。

「違うな」

俺は微笑すら浮かべて、首を横に振った。










「乙女、お前の唇を頂こうか」







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