戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
…まさしく、早業だった。

流石紅の疾風と、誉めたくさえある。

私が瞬く程度の間に、紅は唇を奪い。

そのまま私をとろけさせた。

…それは、どんな魔法だったのか。

唇を奪われた瞬間、全身の力が抜け、目を閉じてしまう。

敵を前にして自ら視界を閉ざすなど、自殺行為。

なのに、紅に全てを委ねてしまっていた。

心も体も、紅に魅了されたかのように抵抗できなくなる。

…やがて、私の唇から柔らかな感触が離れ。

「確かに報酬は頂いた」

言葉に気づき、目を開けると。









何やら勝ち誇ったような表情の紅が、笑みを浮かべて立っていた。






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