戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
それは、今後を暗示する行動だったのかもしれない。

背中を見つめる乙女には目もくれず、俺は歩き出す。

その背中に向かって。

「紅!!」

悲痛とも言える声を、乙女は投げかけてきた。

「貴方は裏切らぬ!!過去はどうであれ、貴方はこの国を裏切らぬ…私は裏切らぬ!!」

「…………」

甘いな、乙女。

危険分子はここで斬り捨てる。

そのくらいの非情さがなければ、一国の主は務まらぬ。

やはり俺の考えは間違っていなかった。

戦をする者として、戦場に立つ者として、乙女は優しすぎる。

「…せいぜい、俺に見限られぬように勝ち続ける事だ」

俺は振り向く事無く、王宮の廊下を歩いていった。








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