ネットでタトゥショップを探し
私は、何の迷いもなく受話器を取った。

「もしもし、初めてなんですが、刺青を入れて欲しいんです」

予約を済ませ、私は翌日、原宿にあるタトゥショップへ行く。

刺青を入れた場所は、足首。

せっかく入れるんだから、
どうせなら目につく場所に入れたい。
そう思って足首を選んだ。

絵を選び、長椅子に座った私は、深く深呼吸をした。

「辛かったら言ってくださいね」

そう彫師さんは言うと、タトゥマシンの電源を入れる。
ビーっと言う、機械音が室内に響き渡る。

針が刺さった瞬間、私は、ほんの少し、後悔をした。
自分が想像した以上に痛かったからだ。

思わず、洋服の裾を強く握る。

その痛みは、何か切れない刃物でガリガリと身を削られている痛みのようで・・。

私は、何事も甘い・・いつも考えが甘いのだ。
だから、思ってもいなかった苦悩が多いのだ。
まさに、刺青も同じなのだ。

2時間後、私の足首には、桜の花の絵が刻まれた。

彫り終わった足首は腫れあがり
血が滲み出ていたけれど、

でも、完成した達成感と、永遠に消えない桜が刻まれた事に
「頑張ったじゃん、私」と、心の中で褒め称えた。
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