しかし、1日に8万円稼げたのは、初日だけだった。
次の週の休みに出勤すると、お店が暇で4万しか稼げなかった。

風俗は固定の時給とかがないから、お客がつかなけれな、収入にならない。先週、あれ程、嫌な思いをして後にした風俗店に、また来れたのも、短期間で、なんとかなると思ったからだ。

「ごめんねー、今日、暇だったね」と帰りに店長に頭を下げられたけど、暇なら仕方がない・・・と、自分に言い聞かせて、帰宅した。

でも、翌週になると、給料日前なのもあって更に暇だった。
せっかくの休日を利用して出勤したのに、この日は2万だった。

狭くて薄暗い個室で待機をしていると他の部屋に、お客が来たときなど、声や部屋のドアが閉まる音で、なんとなく、忙しさがわかるが、この日は本当に静かだった。

帰り際、1人しか、お客がつかなかった女の子が店員に

「ちょっと~困るよ!こんなんじゃ、支払いできないじゃん!なんで、こんなに暇なの?!もう辞めようかな!」

と、むくれた顔でカウンター越しに、グズっている。

「給料日前だしさー、我慢してよ、頑張るから、ねっ」

店員も、ご機嫌取りが大変だ・・・

私は、「お疲れさまでした」とエレベーターに乗り込むと、その女の子も、乗り込んできた。

「新しい人でしょ?私、マキって言うの。よろしくね」

少し日焼けしていて、メッシュの入ったロングヘアで、当時ギャルの流行だったアルバローザの大きなハイビスカスが入ったワンピを着ていた。

「最近、暇だよね~!マキなんて、これしか仕事ないし、まじヤバイんだよ~!風呂行こうかなって考えちゃうよね!」

「風呂?風呂ってなに?」私は、思わず質問してしまった。

「あ~風呂ってのはソープだよ!本番ありの店。ヘルスみたいに単価安くないし、稼げるよね!それに、やってることなんて、たいして変わらなくない?」

マキは、ニコニコと話した。

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