側に居たい

「おまえ~ウチの客の良明クンに、惚れただろ?」

ニヤニヤしながら、先輩美容師から電話がかかってきた。

「なんでよ。そんなコトないですよ~」と私はシラを切ってみたが、

「バレバレだっての。あ~いいな~、なんか、こっちがドキドキしちゃうよね~」

「先輩がドキドキしてどうすんですか。そうですよ?惚れましたが何か?」

「認めやがったな~。そっか~。じゃあ、協力でもしてあげようか?」

「うそ?!まじで?うわ~先輩、まじ大好きですから~」

「調子いいなーおまえ~。でも、なんか、わかるよね。良明クン、いいオーラ持ってると思うよ。俺もあの子は、好感持てるから好きだな。
たぶんモテると思うよ~?がんばれよ~」

「がんばっていいのかなー。じゃあ、久々にがんばろうかなー」


その後、先輩は、偶然、街中で良明に遭遇したと言っては立ち話をした話や、良明が来店した時の雑談なんかを私に情報と言っては報告してくれた。

良明は今、専門学校に通っていること。

でも大学を卒業してから専門学校に通っているので、年は私より2つ年上な事。

実家は、新潟で、家が宿泊宿を経営してる事。

背が高くて細身で、髪の毛の長い女の人が好きだと言う事。

今は1人暮らしをしていると言う事。

今は彼女がいないと言う事。


そして先輩美容師の配慮で、店のスタッフと良明と良明の友達も誘って、飲み会をするセッティングまでしてくれたのだ。

それをきっかけに私は良明と電話で話をする仲になった。

まるで、子供の頃の初恋のように、私は、はしゃいでいて、良明に夢中だった。

< 44 / 63 >

この作品をシェア

pagetop