私立の学校までは、電車で1時間、バスで30分の道のりで
決して近い距離ではない。

でも私は新しい環境が楽しかった。

偶然、同じ小学校から1人、たいして喋った事もない女の子が
同じ学校に入学したため、その子と通学するのが習慣になっていた。

今思うと、その子は、非常に真面目で大人しく
お世辞でも美人ではなかった。
その子はいつも私の言う事を何でも聞き、私に付いて歩いた。

だから私は、その子と居るのが妙に心地よかったし楽だった。

入学してすぐに、その子と同じ部活に入部したけれど
私は、他にも友達がいっぱい出来たから、時間と共に
その子とは遊ぶことがなくなっていく。

私の新しく出来た友達は、皆、大人びていて化粧も上手で
美人だったし、色々な遊びをしっていたし、当時、学年で
目立っていた男の子グループとも、つるんでいたし、
私は、その子達と、一緒にいるのが好きだった。

その子達に、遅れを取らないように、精一杯の背伸びをした。
流行の服に、化粧・・・追いつこう、ダサイと言われないようにしよう・・。
私、嫌われないようにしよう。・・。

その子達は、よく授業をサボっては、屋上の踊り場にたむろしていた。
そこで、よくタバコを吸っていた。

「1本吸う?てか、吸ったことある?」とリーダー格の子に言われ

私は「吸ったことあるよ」と言い

生まれて初めてタバコを吸った。

その時、「本当に吸えるの?ふかしてない?」と言われ
タバコを吸ったことがないと思われるのが嫌で、無理やり煙を吸い込んだ。

むせそうになったけど、バレないように我慢した。

それからは家に帰って両親が寝た隙に父親のタバコから
数本抜き取っては、自分の部屋でタバコを吸った。

格好良く吸えるようになりたくて
鏡の前でタバコを吸う仕草を見たりしていた。

私は、他の子よりも格のある子になりたかった。
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