紫陽花と君の笑顔


 画面のロックを解除して詳細を立ち上げると、3件のうち2件は連絡先にある、友人からの電話。


 残る1件は番号だけが表示されており、俺の電話帳には登録されていないものだということを告げる。


 しかし、俺はその番号に、見覚えがあった。




 「……舞桜?」




 そう。数ヶ月前に他界した、俺の恋人。


 目の前の霊園で眠る、林藤舞桜の連絡先。




 でも、どうして。





 彼女の携帯は、亡くなった後すぐに解約したではないか。


 解約した携帯番号は、解約日から約半年間は、使われるはずがないのに。


 俺の携帯には、しっかりと彼女の番号が表示されていた。


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