君とさよならの時間 ~大好きの涙~
――見つけた。私の家。この家だ。
その家は、薄黄色で塗られてて三階建てだった。
初めて見た家。
…綺麗だな。大きな。
私の家だなんて、思えないよ。
「あ、牛乳買い忘れたわ」
「あ、じゃあ、俺が買ってくるよ。いつもの牛乳だよな?」
「えぇ。ありがとね、恋次」
家の中からそんな声がして、扉がガチャリと開いた。
どうしよう。家から出てくる。
私、普通に家の前にいるんだけど。どうしよう。
でも、動けなかった。ううん。動きたくなかった。