君とさよならの時間 ~大好きの涙~



 不思議と、震えなかった。怖くなかった。


 きっとそれは、もう死ぬという事実を受け入れてしまっているからなんだと思う。





 パジャマから制服に着替え、私は学校へ行った。



「いってきます」


「いってらっしゃい」



 心配そうな看護師さんに、私は笑顔でそう言った。






 自然に笑うことができた。


 すごい進歩でしょ?







 歩くのでやっとの足。

 
 手だって、もうほとんど力が入らない。


 心臓も頭も…全然治ってない。




 けど今日だけは、学校へ行かせて。


 葉上に会わせて。








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