僕らが大人になる理由

どうにかなってしまいそうなほど





『俺は真冬とは付き合えないです…』



当たり前だ。

当たり前の答えを、貰った。



ただ、それだけ。



「そういや真冬ちゃん、実家に帰らなくていいの?」

「へ」

「夏も帰らなかったし、さすがに冬くらい帰ったら? ご両親心配してるんじゃない?」


店長の突然の提案に、あたしは困惑した。


「そうね…真冬ちゃん全然帰ってないものね…。ちゃんと連絡はとっているの?」


あゆ姉も心配したように呟いた。

2人とも、そういえば、というように、あたしの表情をうかがっていた。

もちろん連絡なんか業務的なこと以外とっちゃいない。

親についてあまり聞かれることはなかったし、話すこともなかったので、あたしはなんて答えたらいいのか分からず口ごもってしまった。


「えっと…」

「話しづらいことがあるのね」

「いや、ちょっとタイミングを失ってるだけというか…」


親と向き合って話したりするのは、ずっとタイミングを失い続けてるというか…。


「真冬ちゃん、それなら実家帰りなよ! どうせ今年はもうそんなに稼いじゃいけないんだから! そろそろ100万超えちゃうんじゃない?」

「は! そうだ税金…!」

店長の言葉にはっとした。すると店長はするするとこの先のことを決めてしまった。
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