【完】人形達の宴~通りゃんせ~
「行って来るね、母ちゃん」
「多恵ちゃん…」
「早く帰ってくるから栗ご飯、たくさん食べてもいい?」
私の言葉に涙を流しながら笑顔でうんうん頷く母ちゃんに、私も微笑んだ。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい、多恵ちゃん」
もう一度、ギュッと抱きしめあった私と母ちゃん。
あったかい…、
母ちゃんの温もりに包まれているのに、何故か心が寂しくなった。
離れがたい気持ちを押し込め、母ちゃんからゆっくり離れる。
そしてクルリと母ちゃんに背を向けた。
歩き出した私を見送るように友達がまた、通りゃんせの歌を歌い始めたのが背後から聞こえてきた。
私は母ちゃんの傍にまた…、
帰ることが出来るのかな?